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屋根が劣化すると起こる問題

2025.08.12 住宅に必要なメンテナンス

はじめに


屋根は、雨・風・紫外線・雪といった自然環境から住宅を守る「盾」のような存在です。
しかし、普段目にすることが少ないため、劣化に気づかず放置されがち。その結果、雨漏り・カビ・シロアリ・耐震性低下といった深刻な問題を引き起こすことがあります。「屋根は家の寿命を決める」と言っても過言ではありません。今回は、屋根メンテナンスの重要性とチェックポイントを解説します。

屋根が劣化すると起こる問題


1. 雨漏りの発生


小さな瓦のズレやヒビからでも雨水は侵入します。
侵入した水は天井や壁にシミを作り、クロスの剥がれ・カビ臭の原因に。
見えない部分では木材が腐り、断熱材が濡れて性能が低下。
雨漏りが長期間続くと、柱や梁の構造部材まで腐朽し、住宅全体の耐久性を著しく下げます。
👉 実際に「シミが出た頃には屋根裏の木材がボロボロ」という事例も少なくありません。

2. カビ・シロアリ被害


屋根からの雨漏りは建物内部の湿気を増やし、黒カビや青カビを発生させます。
カビの胞子はアレルギー・喘息・肺疾患の原因にも。
湿気はシロアリを呼び込み、屋根からの浸水が床下のシロアリ被害につながることもあります。
特に木造住宅では「屋根劣化 → 雨漏り → 湿気増 → シロアリ」という流れで連鎖的に被害が拡大します。

3. 耐震性・耐風性の低下


屋根材が劣化すると台風や強風で飛ばされやすくなります。
飛散した屋根材は近隣住宅や車を直撃し、二次被害による賠償問題に発展するケースも。
屋根下地や木材が腐ると、地震時の揺れに耐えられず倒壊リスクが増加。
特に瓦屋根は重いため、劣化が進むと耐震バランスを崩す要因にもなります。

4. 光熱費の増加


屋根は断熱と遮熱の大部分を担っています。
劣化で塗装の遮熱効果が落ちると、夏は室内温度が上がり冷房効率が悪化。
冬は断熱性能が低下して暖房が効きにくくなり、光熱費がかさみます。
築20年以上メンテナンスしていない家では、年間数万円単位の光熱費ロスが発生していることもあります。

5. 美観と資産価値の低下


苔やカビで屋根が黒ずんで見えると、家全体が古びて見えます。
売却時には「外観が劣化している=内部も悪いかも」と判断され、資産価値が下がります。
外壁よりも屋根の劣化は気づかれにくいですが、査定時には必ずチェックされるポイントです。

6. 生活への直接的な影響


雨漏りが寝室やリビングに及べば、家族の生活に大きな支障をきたします。
天井からの雨漏りは感電リスクを伴い、電気設備や照明器具を壊すことも。
カビ臭や湿気は住環境を悪化させ、特に子どもや高齢者の健康被害が目立ちます。

屋根の劣化を放置すると…

「住宅の寿命短縮」
「健康被害(カビ・シロアリ・アレルギー)」
「光熱費や修繕費の増大」
「近隣トラブル・資産価値低下」
このように、単なる外観の問題ではなく 家と家族の安全・お金・信頼すべてに影響します。
だからこそ「屋根の点検・メンテナンスは10年に一度」が鉄則です。

自分でできる簡単チェック


瓦屋根:双眼鏡で割れ・ズレ・欠けを確認
スレート屋根:色あせ・表面の剥がれ・苔の発生を目視
金属屋根:サビ・浮き・反りを確認
室内天井:シミやカビ臭があれば雨漏りのサイン
👉 あくまで「外から見える範囲」だけ。無理に屋根に登るのは危険なのでNG。


メンテナンスの目安


1. 点検の基本サイクル


10年ごとに専門点検が理想。
屋根材の種類や環境によって差はあるものの、 “見た目に異常がなくても定期的に診てもらう” のが長寿命化のポイント。
特に最近は気候変動の影響で、寿命目安が従来より早まる傾向あり。

2. 屋根材ごとの耐用年数とメンテナンス時期


瓦屋根
 寿命:50年以上。ただし 漆喰部分は20年ごとに補修必須。
 👉 地震や強風でズレやすく、近年は補修頻度が上昇。
スレート屋根(コロニアル)
 寿命:20〜30年。塗装は10年ごとが基本。
 👉 温暖化で強い紫外線を受け、塗膜劣化が5〜8年で進むケースも増加。
金属屋根(ガルバリウム鋼板など)
 寿命:30〜40年。塗装メンテは15年ごと。
 👉 豪雨や台風の飛来物で傷つくと、サビの進行が早まる。

3. 温暖化・自然災害の影響で短縮化


紫外線の増加
 → 塗膜の劣化スピードが早まり、スレート・金属屋根は10年もたずに色あせ・チョーキングが発生するケースあり。
豪雨・台風の激甚化
 → 瓦のズレ、棟板金の飛散、雨漏りリスクが急増。
 → 従来「10年で点検」の目安が、台風後は即点検へシフト。
猛暑・寒暖差
 → 金属屋根は膨張収縮を繰り返すことで歪み・浮きが早く進む。
 → スレートは熱による微細なクラックが増加。
積雪・雹(ひょう)被害
 → 雪止め金具の破損やひょうによる表面塗装の剥離も増えている。

4. 実際の点検タイミング例


築10年 → 初回点検必須(外壁・屋根セットで)
築20年 → 大規模修繕(塗装・カバー工法など)を検討
台風・地震・大雪の後 → 目視できる異常がなくても点検を推奨
屋根に苔・カビが見えたとき → 塗膜劣化サイン、早めの再塗装が必要

これまでの「10年ごと」ルールに加え、災害後は臨時点検をセットにするのが現代の標準。
温暖化で屋根は「昔より早く劣化する」前提で考えるべき。
早めの補修は費用が小さく、放置すると 数百万単位の葺き替え工事に直結する。
💡 「定期点検+災害後点検」=住宅長寿命化の新ルール。
 
台風・地震後:必ず目視点検

業者に任せるべき点検・修繕
高所での屋根全体調査(足場・安全器具が必要)
雨漏り箇所の特定(散水試験・赤外線カメラ使用)
屋根塗装・葺き替え・カバー工法
瓦の漆喰補修・棟板金交換
👉 「見えない部分」「高所作業」「専門工具が必要」な部分はプロ依頼が必須。


まとめ


屋根は住宅を守る最前線。

雨漏りや劣化は「気づいたときには深刻化」していることが多い
10年ごとの定期点検と台風・地震後のチェックが住宅長寿命化のカギ
自分でできるのは外観確認まで、修繕は必ずプロへ
💡 「まだ大丈夫」と思って放置するのが一番危険。屋根は“早めの点検・早めの手当て”が鉄則です。